初体験の連続。
昨日は、野球中継の解説者として初めて、グラウンドに行きました。
野球の聖地、甲子園。その土の上を革靴で踏みしめるという違和感と緊張。「やっぱりこの土の上は、選手だけのものなんや」ということを、
再認識した出来事でした。
選手としては、何度も立たせてもらった場所なのに、
立場が変わると、目線も変わります。球団、選手、関係者、マスコミ。挨拶しなければいけない人が山ほどいるというのに、
とてもじゃないけど、回りきれませんでした。
きょろきょろしていたから、たぶん僕の目は、普段の1.5倍くらい見開かれていたと思います。
それでもなおかつ、伺い切れなかった方、
「俺に挨拶はないんかい」というお叱り、甘んじて受けます。スミマセン。
そんな時、頼りになるのはやっぱり同級生です。
同級生で、大学時代からの友人・阪神の片岡コーチが、ベンチ前で佇む僕を見つけて、
「おいでおいで」としてくれなかったら、僕はどこに行っていいやら、
さっぱりわからなかったことでしょう。何しろ、立ち位置がわからない。
どこを歩いていいやら、いけないやら。
ユニフォームを着ているだけで許された「自由通行」の贅沢を、
つくづく感じた次第です。
野球選手だったから、野球を全部知っているつもりになるのは危険、と、
我が家の鬼コーチは言います。上から目線で自分の知識を切り売りするのではなく、マメに現場に足を運んで情報を集め、どんなに年下の選手にでも頭を下げて教えを乞える
解説者でいてほしいと。
僕はその言葉を肝に銘じてやっていくつもりです。
じゃないとたぶんご飯を作ってもらえません。
それにしても緊張しました。
人生初インタビューの相手が、金本さんですよ。まわりは気軽に「同期やろ」と言いますが、年も上やし、
何より、あれだけの選手です。僕からしたら、憧れ見上げる存在の人。
その人間性の大きさそのままに、僕の拙いインタビューを、
誠実に、そしてユーモアたっぷりに受けてくださいました。
サインもらったろかと思いましたよ。よう言わんかったけど。
インタビューって、難しい。
番組を製作する側が聞き出したいこと、視聴者が聞きたいこと、知りたいこと、
そして、選手本人が言いたいこと、言いたくないこと。
たくさんの思惑が絡み合う中、どんなふうにリラックスした
雰囲気を作って、適切な言葉で相手の本音を引き出すか。
引退したら、いろんなことから開放されてちょっとは気楽になるなんて、
一体誰が言ったんでしょう。
気楽どころか勉強することが多すぎて、僕は毎日家の机に資料を広げ、
うーうー、うなっています。
昨日の放送では「押しも押されもせぬ」を「押しも押されぬ」と 言ってしまったわたくし。資料の「間違えやすい例」を読めば読むほど 間違えているほうを覚えてしまいそう。 |